部品表 (BOM) とは?現場で役立つ管理のポイントを解説 (無料テンプレート付き)

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2025年6月9日
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概要

製品を正確かつ効率的に作るうえで欠かせない「部品表 (BOM)」は、製造業をはじめ、エンジニアリングやソフトウェア開発など、さまざまな分野で活用されています。この記事では、BOM の基本的な役割から種類、作成のポイントに加え、実務で役立つ管理方法や活用のコツも詳しく解説します。はじめて BOM に触れる方から、管理の見直しを検討している方まで、現場で使える知識が身につく内容です。今すぐ使える BOM の無料テンプレートもご用意していますので、実務に役立てましょう。

更新: この記事は、BOM の管理方法に関する記述を含め、2025年 6月に改訂されました。

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英語で Bill of Materials (BOM) と呼ばれる「部品表 (部品構成表)」は、いわばプロジェクトの「レシピ」のようなものです。必要な部品情報や部品数を明確に整理することで、製品や成果物の完成に必要な工程を見える化できます。お気に入りのクッキーのレシピのように、BOM はプロジェクトを成功させるために欠かせない、重要な役割を果たすのです。

部品表 (BOM) とは?

部品表 (BOM、Bill of Materials) とは、最終製品や成果物を完成させるために必要な材料、部品、作業指示、要件を整理した一覧表です。一般的には製品開発や製造業で使用されますが、ソフトウェア開発からマーケティングキャンペーンまで、あらゆるプロジェクトで BOM を活用できます。

BOM は通常、プロジェクトの計画段階で作成され、部品管理や工程の明確化に大きく貢献します。作成にあたっては、設計部門や製造部門だけでなく、調達部門、購買部門、さらには外部のベンダーやサプライヤーなどとも連携し、正確な情報を反映させることが重要です。

BOM は一般的に、最終製品をトップ階層に、サブアセンブリ (組立部品) やコンポーネント、その他の要件を下位階層に配置した、階層構造で作成します。このように体系立てた一覧にすることで、プロジェクト全体の構成が可視化され、関係者全員が同じ認識を持ちやすくなります。リリースのタイプにかかわらず、必要な要件や納期を正確に把握するための、非常に重要な資料です。

製造業にとって BOM は必須のアイテム

製造業において、BOM が製造工程を正確に管理するための基本ツールとして広く活用されています。この BOM が、部品調達や在庫管理の基礎となるほか、製造プロセスに必要な部品や数量を明確にし、作業ミスや手戻りを防ぎます。また、工程管理の精度を高めるうえでも重要です。

BOM は、製品の設計図とあわせて製造現場で参照されることも多く、必要な部品情報を把握する際の手がかりとなります。こうした役割を通じて、BOM は製造全体のスムーズな連携、品質向上、コスト最適化に大きく貢献します。

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BOM を使うメリット

正確な BOM を作成することで、製品や成果物の生産に必要な情報を一元管理でき、信頼できる唯一の情報源として機能します。しかし、BOM を適切に整備していない場合、在庫不足による納期遅延、部品の過不足によるコスト増加、品質や成果のばらつきなど、現場にさまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。

[インラインのイラスト] BOM を使うメリット (インフォグラフィック)

透明性を向上させる

BOM は、プロジェクトに必要な材料や工程情報を管理するための基盤となります。これにより、設計、製造、調達、サプライヤーなど、複数のチームが同じ基準で作業を進められるようになり、認識のずれを防げます。

また、製品ライフサイクル全体を通じて情報の一貫性を保ち、複雑な製造プロセスを可視化および簡略化することにもつながります。

成果物のコストを正確に算出できる

BOM は、成果物の正確なコストを計算するために不可欠なものです。BOM で材料とコストの情報を常に更新しておけば、最終製品のコストを簡単に把握でき、計画通りに進んでいるかどうかも確認できます。

最終的なコストによってマージンや利益、さらには課税水準が決まるため、予算を上回らないように気をつけましょう。コストを把握することで、マージンを維持し、スコープクリープを防ぎやすくなります。

ワークフローを最適化できる

BOM のフレームワークを活用することで、チームのワークフローをスムーズに計画できます。重要な機能を BOM に詳細に記述することで、ダウンタイムを防ぐためにどのタイミングで在庫を発注または補充すべきか、どのチームがどのタスクに最も適しているかなどを考え、プロセスの改善点を発見し、効率と収益性を高められるようになります。

リソースの無駄を削減できる

BOM を正確に作成することで、プロジェクトを完了するために何が、いつ、どれだけ必要なのかを事前に把握できます。過剰な仕入れや不足による作業中断を防ぐことができます。必要な要素が揃っていないと、プロジェクト全体が止まり、納期の遅延や運用コストの増加につながるおそれがあります。

特に製造業では、BOM が正確であれば各部品の必要数を的確に予測して発注でき、在庫管理の最適化や資材の無駄削減にも直結します。これにより、生産効率の向上とコストコントロールが可能になります。

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BOM の分類

BOM は、製造業に限らずあらゆるプロジェクトに応用可能な柔軟な情報管理ツールです。そのため、プロジェクトの種類や目的に応じて、さまざまなタイプの BOM が存在します。

複雑なプロジェクトや部門間プロジェクトを計画する場合、複数の BOM が必要となることがあります。この場合、各 BOM には、設計、運用、製造など、プロジェクトの各コンポーネントの材料と要件がリストアップされます。

マルチレベル部品表

マルチレベル部品表は、最終製品を最上位に、その下に個々の材料やコンポーネントを配置した複数の階層から構成されており、チームは部品とコンポーネントの関係を視覚的にとらえられます。BOM を階層化することで、チームは最終成果物に至るまでの過程で、プロジェクトの各段階でどの部品が必要かを簡単に把握できるようになります。

モジュラー部品表

モジュラー BOM は、サブアセンブリを完成させるために必要な材料、文書、部品、および設計図やダイアグラムを記載したものです。たとえば、複数の広告媒体を使って、製品やサービスのさまざまな効果を紹介する広告キャンペーンなど、成果物に複数のモジュールの組み合わせが考えられる場合、モジュール式の部品表が役に立ちます。

コンフィギュラブル部品表 (CBOM)

コンフィギュラブル (構成可能) な製品を開発する業界では、顧客の特定の要件に合わせた製品の設計と製造に必要なすべての部品をリストアップするために、CBOM を使用することをおすすめします。このタイプの文書は、製品構造を維持するために必要な工数を削減するために、簡単に形を変えられます。CBOM を使用するには、まずモジュラー BOM の構造を導入する必要があります。

設計部品表 (EBOM)

設計 (エンジニアリング) BOM には、最終製品を作るために必要なアイテム、部品、サブアセンブリ、およびアセンブリのリストが含まれます。一つのプロジェクトに、電気系と機械系など、複数の設計部品表が存在する場合もあります。

ソフトウェア部品表 (SBOM)

ソフトウェア BOM は、コードベースに存在するすべてのオープンソースコンポーネントとサードパーティコンポーネントをまとめたものです。これには、コンポーネントのライセンス、バージョン、パッチのステータスが含まれ、セキュリティチームは関連するリスクを迅速に特定できます。高品質で、コンプライアンスに準拠したセキュアなコードを作るには、SBOM を常に正確な状態に更新し続けることが大切です。

製造部品表 (MBOM)

これは、その名の通り、製造 (マニュファクチュアリング) プロジェクトで使用される部品表です。MBOM には、製品を完成させ、出荷するために必要なすべての部品とアセンブリ (組み立て工程) を記録します。MBOM には、組み立て工程で使用される部品、包装材、説明書、最終製品に同梱されるガイドブックなど、すべての成果物とマイルストーンを記載する必要があります。

機器 BOM

機器 (イクイップメント) BOM には、プロジェクトを完了するために必要な交換用スペアパーツをすべてリストアップします。これにより、メンテナンスエンジニアは、部品をすばやく識別し、場所を特定し、交換できるようになります。部品表を正確に作成することで、適切な部品を適切なタイミングで調達できるようになり、企業の信頼性の向上につながります。

BOM に記載する内容

製品の製造や今後の販売促進を計画する際に、BOM を活用することで、プロジェクトの開始に必要なものを確実に入手できます。

[インラインのイラスト] BOM に記載する内容 (インフォグラフィック)

BOM に含まれるデータや情報はプロジェクトによって異なりますが、一般的には次のようなものが含まれます。

  • 連絡先 (POC) 情報: サプライヤーやチームメンバーが BOM に関して質問がある際に、簡単に問い合わせられるように連絡先情報を記載します。

  • BOM のレベル: マルチレベル部品表では、各部品や要件が BOM 階層内のどこに位置するかを数字によって示します。最終製品は、BOM レベル 1 とみなされます。

  • 必要なもの: プロジェクトを完了するために必要な材料、コンポーネント、または部品をすべて記載し、できるだけ詳しく説明しましょう。これには、各製品の製品名、部品番号、説明、数量、仕入先、単価、総費用が挙げられます。

  • 調達タイプ: 部品が自社で調達されるのか、サプライチェーンパートナーや代理店から調達されるのかを定義します。非製造業用の部品表では、各成果物の作成担当チームを指定します。

  • 写真や URL: 必要に応じて、図や画像、リンクなどを添付します。

  • 優先順位: どのようなプロジェクトでも、必要な成果物と、あればよいだけのものがあります。プロジェクトでスコープクリープが発生しないようにするために、どちらを優先させるかを記録します。たとえば、リードタイムが最も長いコンポーネントや、金額が最も高いコンポーネントを記録しておくと、チームはそのコンポーネントに特に注意しなければならないことを把握できます。

  • 代替品候補: コンポーネントや部品に関してある程度の融通が利く場合、予定通りのものが手に入らない場合に備えて、代替品の候補を挙げておきます。

  • リビジョンレベル: BOM のリビジョンレベル (BOM が何回見直され改訂されたかを示す方法) を記載することで、関係者がこれらの要件が受けた変更をすばやく把握できるようになります。これは、通常、R1、R2、R3 などのようにシンプルな形で BOM の最上部に記載されます。

記事: 製品開発プロセスの 6 つのステージ (実例付)
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部品表のテンプレート

Asana の部品表テンプレートをダウンロードして、次のプロジェクトで詳細や部品を効果的に管理しましょう。このダイナミックな文書を使うと、高品質な最終製品を正確に完成させるために必要なものをチーム全体が確実に認識できるようになります。

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BOM を最大限に活用する方法

BOM は、かなりの時間と配慮が必要となる広範囲な文書です。BOM が効果的であれば、チームのコミュニケーション、コラボレーション、ワークフロー、在庫管理などの改善につながります。ここでは、部品表を正確かつ効果的にするために行うべき一般的なベストプラクティスをいくつかご紹介します。

プロジェクトのニーズに合わせて BOM を調整する

BOM を作成する前に、何を記載すべきかを確認し、プロジェクト特有の要件に合わせてカスタマイズします。さまざまな業界でどのように BOM が使用されるかを考えてみましょう。

自転車を作るのであれば、部品番号、数量、測定単位を記載するはずです。しかし、ホームページのリニューアルに使用するユーザーエクスペリエンス関連の BOM には、これらの内容は必要ないでしょう。

できるだけ正確に作成する

接着剤やファスナーなどの小さな部品が、BOM に記載するほど重要な内容か疑問に感じられる方もいるかもしれません。しかし、ここで考えるべきなのは、BOM に記載されていないものは、最終製品に反映されないということです。

小さなことが、BOM の正確さに大きな影響を与えます。時間がかかっても、できるだけ役立つ情報を記載し、簡潔で正確な文書を作成しましょう。できるだけ多くの情報を記載すると、より効果的な文書に仕上がります。

編集権限を制限する

プロジェクトに関わるすべての人が文書を編集する必要はありません。誰がどのような権限を持っているかを明確にすることで、混乱やヒューマンエラーを減らせます。必要な場合にのみ編集権限を付与するようにすると、組織内のほとんどの人は読み取り専用の権限しか必要としないことが明らかになるはずです。

変更点を記録する

部品表はダイナミックな文書であり、プロジェクトのライフサイクルを通じて変更と更新を行います。しかし、変更が多すぎたり、管理が行き届かなかったりすると、不正確で質の低い仕上がりになってしまうことがあります。

BOM に加えられたすべての変更をモニタリングするシステムを作成しましょう。こうすることで、最終製品に影響を与える前にエラーを特定し、修正できます。

記事: 変更管理プロセスとその活用法

テンプレートを使用する

プロジェクトの各フェーズで複数の部署や担当者がそれぞれの BOM を作成している可能性が高いため、各グループに対応したテンプレートを使用することをおすすめします。

こうすることで、注文プロセスを統一し、コミュニケーションを標準化しながら、ニーズに合わせて柔軟にテンプレートをカスタマイズできます。

効率的に BOM を管理する方法

BOM を効果的に運用するには、部品の構成や製品情報、設計情報など多岐にわたる技術情報を一元的に管理し、常に正確な状態に保つことが不可欠です。しかし、Excel などの表計算ソフトで部品表を管理している場合、入力ミスや仕様変更の反映漏れ、さらには設計変更による混乱などが起こりやすくなります。

特に製品のライフサイクルが短く、設計や調達がスピードを求められる現代のものづくりにおいては、情報共有や変更履歴の可視化が不可欠です。

そこで効果を発揮するのが、ワークマネジメントツールの活用です。BOM をはじめとする部品表管理に Asana のようなツールを活用することで、設計部門から製造、購買部門までがリアルタイムに情報を共有し、仕様変更や設計変更にも柔軟かつスピーディに対応できます。

プロジェクト全体を通じて、情報の一元管理を実現することで、業務の抜け漏れや重複作業を防ぎ、製品開発の精度とスピードを大幅に向上させることが可能になります。

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まとめ: BOM で生産計画をレベルアップする

どのような目標であっても、適切に整理された BOM を作成することで、プロジェクトを成功に導く土台を築けます。まずは、Asana のテンプレートをダウンロードし、プロジェクトのニーズに合わせてカスタマイズしてください。

すべての部品、コンポーネント、要件、およびチームが役に立つと思うその他のリソースを記載しましょう。そして忘れてならないのは、詳細は足りないよりも多いほうが効果的な BOM が作成できるということです。

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BOM に関するよくある質問

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